私自身も最初物件を見たときは、「厳しいかもしれない」と思いました。しかしながら、オーナー様とお会いさせていただき、先代から引き継がれた大切な資産のお話を伺っているうちに、「なんとかできないだろうか？」と考えるようになっていきました。そこで、設計事務所と何度も打合せを重ねて考案したのが、“階高を縮める”という手法でした。

一層ごとの階高を縮めることによって、階数を増やす。そのために、設計事務所と連携しながら、ロビーや室内のクオリティを維持しつつ階高を縮められるよう、試行錯誤をくり返しました。その結果、採算の合う部屋数を確保することができたのです。

若い女性にも「かわいいホテルだね！」と言ってもらえるよう、女性だけのデザイン事務所「ドムスデザイン」さんに協力してもらい、ずば抜けたデザインにしていただきました。エレベーターを降りた瞬間、各階のテーマとなっている世界都市に浸れるのがポイントです。

またホテルのフロントは、まるで空港のチェックインカウンターのような雰囲気に。カードキーにも、オリジナルのデザインが施されています。まさに、“モノ消費”ではなく“コト消費”を体験できるホテルになりました。

その結果、博多はすでにホテル激戦区であったものの、当ホテルは多くのお客さまから支持されるホテルになりました。丸3年を迎え、オーナー様にも大変よろこんでいただいております。

今回、オーナー様は弊社にすべてお任せいただくことを望んでいらっしゃいました。私たちは、お預かりした資産を長く活用させていただくという使命のもと、全力でホテルづくり・運営に従事させていただいております。それがひいては、オーナー様の利益にもなります。

もちろん、かなり挑戦的なコンセプトだったこともあり、ギラギラしたコンセプトシートを見ていただいたときは驚かれていましたね。他社の提案とはまるっきり異なりますから。それでも、信じて任せていただいた結果、多くのお客様から支持されるホテルになりました。

当ホテルの成功を皮切りに、これからも100店舗・100コンセプトをベースとした「ミッション100」を実現するべく、お客様、オーナー様、そして地域に貢献できるようなチャレンジをしていきたいと思います。